機能水事業部
衛生管理の現場では、ある種の殺菌料を「何でも効果のある『魔法の水」』として話題になることがあります。特に、次亜塩素酸水や酸性電解水といった名前は、食品工場や飲食店では耳慣れた存在ではないでしょうか。これらの殺菌料は「何でも簡単に殺菌できる画期的なアイテム」として紹介されることが多いのですが、実際の効果はどうなのでしょうか。そして、どのような使い方をすればその効果を十分に発揮できるのでしょうか。今回は、衛生管理に課題を抱える多くの皆様に向けて、「魔法の水」の実際と、適切な使い方・注意点について、できるだけ分かりやすく解説します。

殺菌料の種類と特徴を知る
はじめに、次亜塩素酸水と酸性電解水、そして長年使われてきた次亜塩素酸ナトリウム溶液の違いについて、簡単にご説明します。
次亜塩素酸水は、塩化ナトリウム水溶液、塩酸水あるいは塩酸と塩化ナトリウム水溶液の混合液を電気分解して作られ、厚生労働省が認可している食品添加物殺菌料の規格(製法、濃度、pHなど)を満たした次亜塩素酸を主成分とする水のことをいいます。特徴は、細菌やノロウイルスをしっかりと殺菌できること、そして刺激臭が少なく肌荒れしにくく水道水感覚で使用できるという点です。
酸性電解水も同じく電気分解によって作られますが、pH(ぴーえいち:酸性やアルカリ性の目安となる値)が中性より酸性側の水のことを総称していいます。pHによりさらに強酸性、弱酸性、微酸性に分類されていて、生成方法や原料によってそれぞれ特徴が異なります。
これに対して、次亜塩素酸ナトリウムは、家庭で使われる漂白剤の主成分でもあり、強力な殺菌力を持つ一方、強いアルカリ性のため手に触れると刺激が強い、金属や器具を傷めることがある、独特の塩素臭があるなどの短所もあります。
こうした性質の違いが、「使いやすさ」「安全性」「効果の持続性(保存期間)」などに影響します。しかし、「その違いをきちんと理解することが、衛生管理のスタート地点」といえるでしょう。
効果が出やすい使用方法とは
それでは、殺菌料の効果をしっかり引き出す使い方についてご説明しましょう。
まず絶対に外せないポイントが、「汚れを事前に落とす」ことです。殺菌料は、表面が油や食品カスで汚れた状態では十分に働きません。なぜかというと、殺菌成分が汚れや有機物で消費されてしまい、殺菌成分が必要な菌やノロウイルスまで届かなくなってしまうからです。そのため、必ず水洗いまたは洗剤でしっかりと洗い流し、その後に殺菌料を使うことが原則です。
次亜塩素酸水や酸性電解水は、食品を殺菌したり調理台や調理器具の拭き取りに使ったりできるのがメリットですが、濃度や接触時間(どれくらいの時間作用させるか)がとても重要です。「薄すぎる」または「作用時間が短すぎる」と、十分な効果が得られない場合もありますので、使用法については自社でしっかりと効果の出る条件の検証を行った上で使用することをお勧めします。
さらに、殺菌料の保存状態にも注意しましょう。次亜塩素酸水や酸性電解水は、直射日光や高温にさらされると成分が分解され、塩素濃度が低下して殺菌力が弱まります。保存する場合には、密閉できる容器で、涼しく暗い場所で保管することが大切です。連続的に生成できる装置をご使用でなく、ボトルやボックスで水のみを購入している場合は、こまめに使い切るように使用しましょう。

効果が出にくい使い方・ありがちな誤解
現場で「思ったほど効果がない」「殺菌できているか不安だ」という声を聞くことがあります。そのような場合、多くは使い方や管理に問題があります。たとえば、汚れや油脂が残ったまま殺菌料を散布する、濃度が不明のまま使う、長期間放置して効果が落ちた殺菌料を使う――これではどんな優れた殺菌料も力を発揮できません。
また、「とにかく高濃度の殺菌料をたくさん使えば安心」という誤解も危険です。濃度が高すぎると対象物へのにおい移りや残留、手荒れや器具の劣化につながる可能性があります。反対に濃度が低すぎると菌やノロウイルス(※1と同様)をしっかりと除去できない場合もあります。次亜塩素酸ナトリウム溶液の場合は、濃度管理が特に重要ですので適量・適切な使い方を確認して使用しましょう。
衛生管理の基本として、「洗浄と殺菌はセット」で考えてください。どちらかだけでは十分な衛生状態は保てません。さらに、殺菌作業が終わった後は、使用した殺菌料の種類・濃度・作用時間を記録する習慣をつけてください。これは品質管理や万が一の事故対応にも役立ちます。
次亜塩素酸ナトリウム溶液との使い方の違い
次亜塩素酸ナトリウム溶液は、古くから食品関連の現場で「強力な殺菌料」として重用されてきました。漂白剤としての使い方が主流ですが、食材や調理器具、まな板などの除菌を目的とした場合は、濃度・作用時間のルールを厳守する必要があります。たとえば、厚生労働省の指針では、器具殺菌には0.02~0.1%(ppm換算で約200~1000ppm)程度が推奨されており、洗浄後に数分間浸すことで効果が発揮されます。
その一方で、次亜塩素酸水や酸性電解水は、より「使いやすさ」に重点が置かれています。臭いも少なく、手荒れのリスクも比較的低いのが長所です。しかし、効果の保持期間が短いため、連続的に生成できる装置などで対象物に対してたくさんかけて作用させることが重要となります。装置などがなく、ボトルやボックスで水のみで購入されている場合は、仕入れや製造から時間が経った殺菌料は水質(残留塩素濃度、pH)に注意して使用されることをお勧めします。
使い分けのポイントは、「何を殺菌したいか」「誰が使うか」「効果が必要な場面」の3点です。例えば、野菜や果物などの食材殺菌には、次亜塩素酸ナトリウム溶液と次亜塩素酸水のどちらも使えますが、手荒れが気になる場合は後者がおすすめです。ただし、どちらも必ず事前洗浄をしてから使用し、次亜塩素酸ナトリウム溶液であれば残った殺菌料を十分に水洗して残留しないように配慮しましょう。次亜塩素酸水であれば残留性が非常に少ないので残留をほとんど気にせず使用できるメリットもあります。
次亜塩素酸水や酸性電解水を「魔法の水」と呼ぶのは、その便利さに驚きを込めた表現ですが、実際は正しい知識と実践があってこそ最大限の効果が得られます。現場でのちょっとした工夫や記録の積み重ねが、衛生事故を防ぐ最も大切な武器となります。衛生管理に課題を感じている皆さま、魔法の水を使いこなす「魔法使い」になれるよう、ぜひ今日から実践してみてください。

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このコラムが皆さまの現場での衛生管理に少しでも役立てば幸いです。これからも殺菌料の働きを正しく理解して、安心・安全な食品づくりに取り組んでいきましょう。