陽だまり column

暖房のちょっといい話

Vol.3
ふく射ってどんなもの?

熱が伝わる仕組みのひとつ

ふく射は、熱が伝わる仕組み(伝導・対流・ふく射)のひとつです。あらゆる物体はその温度に比例した熱を放出しています。これが放射エネルギーです。温度の高い物体はより多くの放射エネルギーを出し、温度の低い物体はわずかな熱しか出しません。また物体の表面積が大きければ大きいほど、その熱量も大きくなります。 ではその時に放出されたふく射熱はどこにいくのでしょう。実はそのふく射熱(放射エネルギー)は、周りにあるより温度の低い物体に吸収され、その物体の温度を上げることに使われます。温度の高い物体はどんどん熱を放出し冷めていきます。同時に周りの物体はどんどん熱を吸収し暖かくなっていきます。この原理を利用したのが「ふく射暖房」なのです。

ふく射ってどんなもの?・画像1

春の日を想わせるぽかぽか感

じわじわと芯から暖める力

私たちの周りにはたくさんのふく射現象があります。太陽からの暖かさもふく射現象。表面温度約6000℃といわれる太陽の熱は、はるかかなたから宇宙空間を旅し地上にふく射熱として降り注いでいます。この太陽のふく射熱は短波放射いわゆる赤外線で、高温の物体から放出され、表面の色によって吸収率が異なり、黒い色などはより多く熱を吸収すると言われています。一方、パネルヒーターなどの暖房器具や人体からでるふく射熱は遠赤外線と呼ばれる長波放射で、色による吸収率の差もなく、じわじわと芯から暖める力があります。ふく射式のセントラルヒーティングのぽかぽか感は、この遠赤外線のおかげなのです。

冷ふく射とコールドドラフト

室内での寒さを感じさせる大きな要因

暖房されていない冬の室内では、私たちの身体の方が暖かく、周りの物体(床・壁・窓・天井・家具など)の温度が低いため、身体から多くの放射エネルギーが奪われてしまい、寒く感じてしまいます。この現象を「冷ふく射」といい、中でも窓は断熱性能が低く 、壁の断熱性能の1/5から1/10ほどの性能しかありません。そのため、多くの熱を奪われ、とくに寒く感じる原因となります。

また、窓や壁面で冷やされた空気は重くなり、床に向かって流れていきます。この空気の流れを「コールドドラフト」といい、室内での寒さを感じさせる大きな要因となります。

冷ふく射とコールドドラフトをいかに抑えるかが、快適な室内環境を実現するための重要なポイントになります。

窓は壁面にくらべ、5~10倍(単位面積当たり)熱が逃げやすい場所です。ペアガラスやLow-Eガラスなどと、樹脂、木製サッシの組み合わせが高性能です。特に、窓面積が大きい場合、日中の採光には有利な反面、窓から逃げる熱量も大きくなり、ランニングコストに与える影響も大きくなります。

ふく射ってどんなもの?・画像2

従来の対流式(強制)暖房の室内環境

ふく射ってどんなもの?・画像3

天井付近は暖まりやすく、床付近はなかなか暖まらない。

エアコン暖房などでは大きな気流が生じ、身体から奪われる気化熱の量も大きくなります。また、床や壁などの温度が低く、身体から冷ふく射として熱が奪われるため肌寒く感じます。窓は外気温の影響を受けやすく、室内側の窓表面温度を下げてしまいます。これは、冷ふく射・コールドドラフトの原因となり、足下が冷え、さらには結露を引き起こす要因となります。

ふく射式暖房により均一に温められた室内環境

ふく射ってどんなもの?・画像4

床や壁へもふく射熱が伝わります。

ふく射熱で直接身体を暖めます。気流が小さいため身体から奪われる気化熱の量が少なく、穏やかな暖かさを感じます。窓下にパネルヒーターを設置すれば、ふく射熱で直接身体を温め、対流熱でコールドドラフトの発生を抑えます。また、室内側の窓表面温度が下がらないため、冷ふく射が少なくなり、結露の防止にも効果的です。

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