低温水暖房システム 放熱器を選択する

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◦放熱器
エネルギー源や熱源、放熱器はいずれも極めて重要な役割を担っている。しかし、消費者や彼らの居住/作業空間の機能についても常に考慮しなければならない。

◦唯一、温水パネルヒーターだけが、はっきりしない不明確な住宅やオフィスの暖房負荷に対しての完璧な柔軟性を備えている。

放 熱 器

暖房システムについて議論するときには、総合的な視点から考えることが重要です。エネルギー源や、熱源機、放熱器は、暖房システムにおいて極めて重要な役割を担っています。しかし、住人の居住/作業空間がどのように利用されるのかについても、常に考慮しなければなりません。

エネルギー源や熱源機、放熱器は、いずれも極めて重要な役割を担っている。しかし、住人や彼らの居住/作業空間がどのように利用されるのか考慮しなければならない

建物について、私たちは単一のユニット(暖房が必要なブラックボックス)として考えがちですが、建物とは、小さなユニット(建物内の様々なオフィスや住宅内のたくさんの部屋)が集まってできたものです。たとえば、オフィスは1日8時間しか使用されないのに対して、住宅のリビングは生活者が在宅している間、使用されており、寝室は夜しか使用されません。このように、1つの建物の中でもそれぞれ暖房需用は異なります。

空間(部屋)の機能をさらに調査すると、時間と共に機能も変化する必要があることが分かります。子供がいる家族を例として挙げてみましょう。幼少期が過ぎると子供は学校に行き、その時間は住宅の熱需要量が減少します。さらに成長すると、学校も卒業して仕事に就き、もしかすると引越したり、自分の家を持つようになるかもしれません。

一般的な暖房と換気システム

低温水暖房システム45/35

低温水暖房システムにおいて、暖房水の設計温度は最高で55℃です。ふく射や自然対流の形で温水パネルヒーターやコンベクターを利用して暖房します。これにより、高性能建物(低エネルギー建物)において高いエネルギー効率と快適な暖房空間が得られるのです。

埋設式暖房システム35/28

埋設式暖房システムにおいて、暖房水の温度は通常45℃以下です。最も典型的な埋設式暖房システムは、床面を放熱に利用する床暖房で、部屋への放熱は、熱ふく射や自然対流の形で行われます。床暖房は、暖房需要量や熱質量が大きな建物に適しており、特に、浴室で使用すれば快適ですし(図5.3)、玄関ドアに近い廊下で使用すれば、雨の日に外から持ち込まれる水分を乾かすのに便利です。埋設式暖房システムでは、温水パネルヒーターによる低温水暖房システムよりも、放熱エネルギー効率は低くなっています。

図5.3 床暖房は、タオル掛けタイプの温水パネルヒーターと組み合わせて使用すると、浴室をより快適にすることができます。

換気暖房システム

換気暖房システムは、第1種機械換気システムと一体化され、多くの場合には熱回収装置を装備しています。一般的に、給気温度は居住空間の平均温度で制御されます。このため、温度が変動したり、室内を快適温度に保ちづらくなったりするのです。(空間内での)上下の温度差もこの放熱器によくおこる問題であり、エネルギー効率目標を達成するには、建物の外面を気密化するなど、適切な断熱を施す必要があります。

高い熱出力が必要な場合には、ファン付き放熱ユニットも利用可能です。一般的な放熱器としては、例えば、送風機と放熱器が一体となったファンコイルユニット、暖房や冷房用とともに給気をするファン付きコンベクターなどがあります。

換気機能付き温水パネルヒーターとは一般的に、外気の給気装置を備えた低温水暖房システムのことをさします。ドラフトに対する有効な解決策は、第3種換気システムを用いるときの給気口を自由に使用できるようにすることです。

唯一、温水パネルヒーターだけが、はっきりしない不明確な住宅やオフィスの暖房負荷の変化に対しての完璧な柔軟性を備えている

柔軟性のある放熱器だけが、現代的な居住/作業空間の機能変化に無理なく順応することができるのです。自立制御できる放熱器は、個々の空間の目的や暖房需要量に合わせて調整することが可能です。要するに、唯一、温水パネルヒーターだけが、はっきりしない不明確な住宅やオフィスの熱利得による暖房負荷の変化に対しての完璧な柔軟性を備えているのです。

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